岐阜市立境川中学校2年生カラフルコンサート

顕在化した不協和音



 2011(平成23)年2月4日,カラフルタウン岐阜(岐阜市柳津町丸野)レインボーモール館 太陽の広場において,岐阜市立境川中学校(同市柳津町上佐波東)の2年生が学年合唱を披露する「カラフルコンサート」が開催された。
 筆者が同校の合唱を鑑賞するのは,2010(平成22)年11月11日に開催された岐阜市中学校連合音楽会以来,3ヵ月ぶり4回目となる。



 今回披露された曲は,「翼をください」,「夏の日の贈りもの」,「心の中にきらめいて」,「白いライオン」,「COSMOS」の5曲。全般的には,女子は表情が明るく,口の大きな生徒が多い一方,男子は表情が暗く,声に迫力もないため,女声を十分に支えられておらず,さらには全く歌っていない生徒も混在していた。著しくアンバランスな演奏で,男女間における常日頃の不協和音がそのまま表れてしまったものと思われる。
 何より致命的だったのは,この学年は8学級という大所帯にもかかわらず,迫力が全く伝わらなかったということだ。たとえ音程が不正確だったり,強弱が表現されていないなどといった技術的な問題がクリアされていなかったとしても,一人ひとりが一生懸命に声を出すことでもたらされる迫力さえあれば,きっと筆者は感動していただろう。しかし実際には,そうした技術面以前の問題すらクリアできておらず,言語道断だ。
 今回の学年合唱は,学年としての一体性,まとまりに欠けており,およそ全員の心がひとつになった一体感のある「合唱」とは言えず,残念ながら今回のコンサートで感動を味わわせていただくことはできなかった。
 ショッピングセンターで鑑賞する合唱としては初めてということで,同日に重なっていた別の中学校の合唱祭への取材を断念までして非常に楽しみにしていたのだ。それだけに,期待を裏切られたというショック,別の学校の方を選択していれば良かったという後悔などが筆者の脳裏を錯綜してしまい,針の(むしろ)に座る思いで鑑賞していた。

 なお,毎年続いていたこの「カラフルコンサート」は,会場に用いられてきた「太陽の広場」が,その後に飲食店が集まった「フードテラス」に改修されたという物理的な要因を理由に,例年通り継続することが不可能となった。 フードテラスに生まれ変わった旧・太陽の広場
 つまり,カラフルコンサートは今回が最後だったのだ。今回初めて訪れた筆者にとってはこれが最初で最後だったわけだが,その時は今回が最後だということを把握していなかった。そのため,「来年に期待しよう」と気持ちを切り替えることで,味わった不快感の軽減を図ったのだが,それが叶わなくなってしまったわけだ。
 今回カラフルコンサートに臨んだ生徒らが,自分達の学年が最後だということを把握した上で合唱していたのかは分からない。しかしながら,最後のコンサートとしては不相応な合唱で,わざわざ来場してくださった聴衆に迷惑をかけてしまったという失態は厳粛に受け止めてほしい


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【最終更新】2020年5月1日