岐阜市立本荘中学校3年生合唱発表

岐阜空襲から66年



 2011(平成23)年7月9日,権現山 時鐘楼(岐阜市駿河山)において,「平和の鐘」を打ち鳴らす行事が開催された。この中で,岐阜市立本荘中学校(同市雲雀ヶ丘)の3年生による学年合唱が披露された。
 筆者が同校の合唱を鑑賞するのは,2010(平成22)年11月11日に開催された岐阜市中学校連合音楽会以来,8ヵ月ぶり2回目となる。
 この日は,1945(昭和20)年7月9日に起きた岐阜空襲の日から66年を迎えたことにちなみ,岐阜市中心部の金華山に連なる権現山にある時鐘楼で鐘を打ち鳴らし,800余名の犠牲者の冥福と恒久平和を祈念したのである。


細江岐阜市長による挨拶
岐阜市立本荘中学校3年生による平和の鐘の打鐘
岐阜市立本荘中学校3年生による合唱  「言葉よりも…


 今回披露された曲は,「言葉よりも…」。個人的には平和の鐘の前で合唱するのであるから,「HEIWAの鐘」を合唱して欲しかったという想いがあった。
 実際の合唱は,男女いずれも声量が小さく,中には指揮者に注目しなかったり,全く声を出さなかったりする者も混在しており,およそ全員の心がひとつになった一体感のある「合唱」とは言い難いものであった。屋外での合唱はあまり響かないため,大きな声を出さなければならないということは分かっていたはずなのに,それでも精一杯の声を出そうとする姿勢が感じられなかったのは残念である。

 また,実は「言葉よりも…」という曲は,平和を訴える曲ではないのだ。「地球は今 人の過ちで 自然を失ってきた」,「雪が解けて 白くまたちは 住みかを追いやられてく」という歌詞があるように,この曲は環境保護を訴える曲なのである。確かに環境問題も我々人類にとって喫緊の課題ではあるが,今回のような場で合唱する曲としてはふさわしくないのではないだろうか。
 今回の岐阜空襲の日を機に新たな合唱曲に挑戦したと言うよりは,自分達がこれまでに合唱してきたレパートリーの中から選んだだけに思えてならない。本気で平和を祈念しようという学年共通の堅固な意思があるのだろうか,という懐疑心が増幅したのは言うまでもない。もう少し,選曲の段階から真摯な姿勢を見せてほしかったものである。


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【最終更新】2013年7月19日