岐阜市立岐阜中央中学校1年生合唱披露

岐阜空襲から67年



 2012(平成24)年7月9日,権現山 時鐘楼(岐阜市駿河山)において,「平和の鐘」を打ち鳴らす行事が開催された。この中で,岐阜市立岐阜中央中学校(同市京町)の1年生による学年合唱が披露された。
 筆者が同校の合唱を鑑賞するのは,2012(平成24)年5月2日に開催された同校の開校記念式典以来,2ヵ月ぶり2回目となる。
 この日は,1945(昭和20)年7月9日に起きた岐阜空襲から67年を迎えたことにちなみ,岐阜市中心部の金華山に連なる権現山にある時鐘楼で鐘を打ち鳴らし,800余名の犠牲者の冥福と恒久平和を祈念したのである。


平和の鐘の打鐘
生徒代表による「平和への誓い」
藤澤副市長による挨拶
杉山市仏教会長による法話
岐阜中央中学校1年生による合唱  「Forever


 今回披露された曲は,「Forever」。平成24年度から使用され始めた中学校の音楽の教科書に掲載されている新しい曲で,筆者がこの曲を鑑賞するのは今回でまだ2回目であった。屋外での合唱ということで,音響の良い環境ではなかったが,声量も概ね出ており,しっかりとブレスをする姿からは,一人ひとりがきちんと声を出していることがうかがえた。入学から3ヵ月という時期であるため,当初は小学生の面影を残した溌剌とした合唱を予想していた。ところが実際に鑑賞してみると,そうした予想を覆すような,やや抑制的ながらも中学生らしい落ち着いた印象の合唱であった。
 また,とかく1年生の合唱というと,女声の方が力強く,変声期の最中の男声はそれに追随するような形となるため,アンバランスな合唱になりがちである。しかし今回の合唱は,男女のバランスに問題はなく,1年生の7月という時期ながら,すでに変声期を終えたとみられる男子が多く,安定した深みのある男声で女声を支えることができていた。以上のことから,今回の合唱を一言で言うと,2年生のような合唱であったと言えよう。

 以下に,今回の合唱に先立って行われた「平和への誓い」の全文を載録する。

 昭和20年7月9日,岐阜空襲で800人を超える人々が亡くなりました。この悲惨な出来事を後世に語り継ぎ,犠牲になられた方々のご冥福を祈るとともに,平和への願いを込めて「平和の鐘」の事業が行われるようになりました。この学習で「平和とは何だろう」と考えてみるきっかけをいただきました。
 人々が憎しみ合い,命を奪い合う戦争――。こんな戦争が,なぜ起きてしまうのでしょう。世界の人々が相手のことを思いやり,信じる気持ちを忘れなければ,こんな戦争は起きないはずです。今の私達には,まだまだこんな社会の戦争をなくすための平和活動はできないかもしれません。しかし,今,身近にある思いやりのない言動をなくしていくための活動はできると思います

 この4月,私達は今年度開校した岐阜中央中学校の1年生になりました。新しい友達と仲良くなろうと,5月の社会見学を目標に取り組みました。話したこともなかった人と協力して時間を守ろうと取り組んだり,教室移動の時,班で揃ってお互いの良いところを見つけ合うことができました。そして,社会見学当日の日も,知らない場所だったけど,班で一緒に行動することができ,大成功でした。
 また,初めてのテストに向けても,みんなで教え合い,成功させることができました。3本柱のひとつである合唱も,本格的な練習に入り,大きな声で歌って先輩との合唱交流会を成功させることができました

 こうして今日まで頑張ってきた私達ですが,「本当に平和なのか」と考えると,まだまだ足りないところがあることに気付きました。軽い気持ちで言った言葉で相手を傷付けてしまった人。人をからかったり,ふざけたりしている人。ふざけていることから喧嘩につながってしまった人。歩く人のことを考えずに教室や廊下で暴れている人。聞きたい人がいるのに,私語をしてしまっている人――
 相手のことを考える面で,まだまだ弱い部分がたくさんあります。こうしたことを克服して,初めてみんなが楽しく,平和に学校生活を送れるようになると思います。
 みんながつながり合い,信頼できる仲間になること―― そのために,人の気持ちをとことん考えて,いけないことはいけないと注意できること―― そういうことを大切に生活していきたいと思います。こうした想いを込めて,学年合唱をします。





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【最終更新】2016年1月1日