同校の文化祭の最大の特徴は,やはり「第九」を披露するという点にあるだろう。第九とはドイツの作曲家・ベートーヴェンが作曲した「交響曲第9番ニ短調作品125」のことであるが,例年,同校が披露するのはその最終楽章である。第1楽章から第4楽章まで全て演奏すると約1時間を要すため,生徒やオーケストラの負担を考慮し,もともと合唱が含まれていない第1〜3楽章は割愛したものと思われる。
当日の筆者は午前に各務原市内の学校において合唱の取材をしていた関係上,登龍中学校の合唱は午後の部の第九のみ鑑賞させていただいた。
例年,10〜12月は各地の学校で文化祭や合唱祭等の文化的行事が開催されているが,登龍中学校の文化祭が開催された今回のような11月上旬というのは,例年そうした行事が特に集中する時期であり,毎日のようにどこかの学校で開催されている。日程が重なると,どの学校を選択すべきか直前まで悩むことも少なくないのだが,登龍中学校に関しては第九を披露する数少ない学校であるという点に加え,同校の第九は毎年鑑賞しているため,前年度からどれだけ進化した第九を披露してくれるかを確認する必要性を感じていた。さらに,本年度は同校の創立70周年及び第九が開始されて20周年という節目の年である点も,同校を選択する決め手となった。その選択の背景には,節目の年に相応しい,過去最高の感動的な第九を披露してくれるに違いない,という並々ならぬ期待があったことは言うまでもない。
〜続く〜