瑞浪市立瑞浪南中学校開校式

「実質的統合」への試金石


瑞浪市立瑞浪南中学校
 2016(平成28)年4月7日,瑞浪市立瑞浪南中学校(岐阜県瑞浪市稲津町小里)体育館において,同校の開校式が挙行された。この中で2,3年生による校歌が披露された。
 筆者が同校の合唱を鑑賞するのは初めてである。同校は,同年4月に開校したばかりの学校で,岐阜県下で最も新しい中学校である。同校は,旧・瑞浪市立(すえ)中学校及び旧・瑞浪市立稲津中学校の統廃合に伴って開校した学校である。
 校地は,旧・稲津中学校の跡地に設けられており,全校生徒175名は3階建て鉄筋コンクリート造の学び舎で,新たな仲間との新生活をスタートさせた。



市教育長から学校長へ校旗の授与
開校宣言
水野瑞浪市長による式辞
生徒会長による決意表明
2,3年生による校歌斉唱  「瑞浪南中学校校歌


瑞浪市立瑞浪南中学校
 筆者は統合前の陶中学校の合唱発表会には過去3回,稲津中学校の合唱祭には過去8回それぞれ足を運んだほか,両校の閉校式にも出席して最後の合唱を鑑賞した。そうしたこともあり,筆者にとってはこれまで鑑賞してきた数々の中学校の中でも陶,稲津両中学校はとりわけ思い出深く,遠方に在住してはいるものの,親近感を持っている。両校の合唱を聴き続けてきた筆者にとって,統合後の瑞浪南中学校の合唱に対して大いに関心を持っていたのは言うまでもない。
 今回,瑞浪南中学校の校歌を鑑賞するに際して注目した点は,統合前の陶中学校と稲津中学校がそれぞれ築いてきた合唱の伝統がどのように結び付き,表現されるのかということであった。実際の合唱は,陶中学校の純朴さの伝わる合唱と,稲津中学校の強靭な人間性の伝わる合唱が見事に融合された,一体感のある合唱であった。
 学校に到着してから校歌が披露されるまでの間は,旧・稲津中学校の跡地ということもあり,まだ稲津中学校にいるという錯覚が続いていた。だが,稲津中学校だった時より微増した生徒らがステージに登壇し,新しい校歌を歌う姿を目の当たりにすると,本当に瑞浪南中学校が開校したのだという実感が湧いてきた。
 人数上は稲津中学校出身者の方が多いためか,発声に関しては稲津中学校の発声法に近いという印象を受けた。また,この校歌はパートに分かれてはいないため,狭義では合唱ではなく「斉唱」ということになる。 瑞浪市立瑞浪南中学校
 開校初日ではあるものの,すでに歌詞を暗唱し,楽譜ではなく指揮者に注目して歌うことができていたことから,春休み中に集まって練習を重ねていたものと思われる。もちろん陶中学校と稲津中学校のそれぞれの出身者が別々に練習し,当日初めて全員で合わせたのではなく,練習の段階から両校の交流があったはずである。生徒らは校歌の練習を重ねていく過程で,もう一方の学校の生徒に対する仲間意識や,「瑞浪南中学校」の生徒としての自覚や実感が芽生えたのではないだろうか。
 校舎等のハード面の整備が完了して無事に開校式を迎えても,それは「形式的統合」に過ぎず,実際に新しい学校に集う生徒らがお互いを信頼し支え合い,切磋琢磨し合える仲間関係になるという「実質的統合」を実現するまでにはしばらく時間を要するだろう。今回の校歌披露までの過程はその第一歩であり,これからの日常生活を開校1年目にふさわしい,より価値のある,充実したものにしていくことが求められる。
 開校1年目に開催される行事はどれも「第1回」であるが,筆者が最も注目しているのはやはり第1回の合唱祭である。そこでは各学級や学年の成長ぶりや,先述の「実質的統合」の到達度を確認したいと考えており,大いに楽しみにしている。




 瑞浪南中学校校歌
  作詞 藤吉秀彦/作曲 林光興

  1  みどりあふれる瑞浪の 山なみはるか雲がとぶ
     ねがいを胸に学ぶ日は 若いいのちがまたもえる
     ああ 瑞浪南中学校

  2  風雪やまぬその日でも 熱い想いがあればこそ
     友とはげまし助け合い 歩くこの道どこまでも
     ああ 瑞浪南中学校

  3  歴史を重ねそびえ立つ わが学び舎を仰ぐ日は
     研学の意志みがきつつ 明日をめざして生きてゆく
     ああ 瑞浪南中学校






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【最終更新】2016年5月18日